「起承転結」の意味とは?構成の基本とその奥深さをやさしく解説

ふと、「文章は起承転結でまとめましょう」と言われたとき、
「あれ?そもそも起承転結って、どういう意味だったかな?」と思う瞬間はないでしょうか。

学校で習ったような気もするけれど、いざ自分で文章を書こうとすると、どこが転でどこが結なのか曖昧だったりしますよね。
とくに仕事やプレゼン資料、日常の伝え方にも関係するとなると、「なんとなく」で済ませてしまうのは、ちょっともったいない気もします。

この記事では、「起承転結」の本来の意味と、その構成がどんな背景で使われているのかを、あらためて丁寧に紐解いていきます。
文章の型として知っているつもりだった人も、「こんな視点があったのか」と感じられるような深掘りも交えながら解説していきますね。

「起承転結」とは?意味と4つのパートをやさしく整理

まずは基本の確認から進めてみましょう。
「起承転結(きしょうてんけつ)」という言葉は、物語や説明の流れを4つの段階に分けて整理するための構成法を表しています。

この4文字、それぞれに意味があります。

  • 起(き):話のきっかけ。物語や説明の出発点
  • 承(しょう):起で出した話を受けて、内容を膨らませる展開
  • 転(てん):視点や状況に変化を加える部分。読み手の意識を引きつけるポイント
  • 結(けつ):話をまとめ、読者に残す余韻や結論の部分

つまり、「起→承→転→結」という順序で、流れにメリハリとまとまりを持たせる技術なんですね。

…とはいえ、こうした定義だけを見ると、どこか型に当てはめるだけの印象になってしまいがちです。
でも、実際にはこの構成をうまく使うことで、伝えたい内容がグッとわかりやすく、記憶に残りやすくなるんです。

「起承転結」の成り立ちと背景にあるもの

起承転結という言葉、なんとなく国語の授業で出てきた印象が強いですが、
実はもともと中国の古典詩(漢詩)に由来している構成法だと言われています。

四句構成の漢詩の流れにおいて、

  • 起:テーマの提示
  • 承:テーマの展開
  • 転:視点の転換
  • 結:詩的なまとめ

というふうに流れていくことで、読み手に印象深い「抑揚」や「変化」をもたらしていたのです。

これが日本に伝わる中で、物語や作文、説明文など、幅広い文脈に応用されるようになったという背景があります。

とはいえ、歴史的背景を知らなくても心配は要りません。
大切なのは、この構成が「人の感覚にフィットした自然な流れ」を作るために役立つ、という点です。

起承転結が使われるシーンは文章だけじゃない

ちょっと意外に感じるかもしれませんが、「起承転結」という考え方は、
実は文章構成以外の場面でも活躍しています。

たとえば──

  • スピーチやプレゼン
  • 会議での発言
  • YouTubeの構成台本
  • さらにはマンガやテレビドラマの脚本まで

どれも、伝えたいことに抑揚や流れをつけるために、
自然とこの4段階が活かされているケースが少なくありません。

つまり、起承転結は「文章を書くときだけの型」ではなく、
人に伝えるあらゆる場面で使える伝達技術とも言えるわけです。

そう考えると、この構成を身につけておくことで、
ちょっとした話し方にも伝わりやすさがプラスされるかもしれませんね。

起承転結の「転」がむずかしい?つまずきポイントの正体

起承転結を使って文章を書こうとしたとき、
多くの人が戸惑うのが「転」の部分だとよく言われます。

たしかに、「起」と「承」は、なんとなく順調に書けてしまうことが多いのですが、
「転」になると、急に手が止まってしまうんですよね。

これには理由があります。

「転」は、それまでの流れに変化や意外性を加える役目を持っているため、
どうしても一段階“発想を飛ばす”必要が出てくるんです。

しかも、それが唐突すぎると「話の筋から逸れた」と思われてしまう一方、
弱すぎると「転の意味がない」と感じられてしまう。
このバランスが、なかなか難しいんです。

でも、少し考え方を変えてみると楽になることもあります。

「転」は、無理やり“ひねった一言”を書く必要はありません。
たとえば、

  • 読者の視点を変えるような問いかけを入れる
  • 前半で出した話題に対して別の角度から見る視点を加える
  • 小さな違和感や反論のタネを提示する

といったかたちで、「話の空気にちょっと風を入れる」くらいのイメージでも十分なんです。

完璧に“ひねり”を入れなければいけない、という思い込みをゆるめてあげるだけで、
文章全体が自然な流れでつながりやすくなるかもしれません。

起承転結と「序破急」や三幕構成との違いは?

文章や物語の構成には、「起承転結」以外にもいくつか有名な型があります。
たとえば──

  • 序破急(じょはきゅう)
  • 三幕構成(さんまくこうせい)

などですね。これらは起承転結と混同されやすいのですが、それぞれ目的や使われる場面が少し異なります。

たとえば「序破急」は、起源を雅楽(舞楽)の曲構成に持ち、のちに能や茶道などの芸道一般へ広がった考え方です。
「ゆるやかな始まり(序)→少し速い展開(破)→一気に決着(急)」という緩急で、テンポや緊張感のコントロールを重視します。

一方、「三幕構成」は映画や脚本の世界でよく使われていて、
「導入(Act1)→展開(Act2)→結末(Act3)」というふうに、物語の全体像を大きく3分割して組み立てる発想です。

それに対して「起承転結」は、流れの変化や抑揚に注目して、4段階で流れを操作する構成法。
説明にも物語にも使える柔軟性があるため、ビジネス文書や文章教育の場面でも親しまれているんです。

似ているようで微妙に違う。それぞれの構成法には、それぞれの意図と強みがあるんですね。

現代的にアレンジされた「起承転結」の使い方も

実は最近では、「起承転結をそのまま使わない方がいい」と言われることもあります。
というのも、現代の読者は情報に触れるスピードが速くなっていて、最初の“起”でじっくり語る余裕がない場面も増えているからなんですね。

とくに、ブログやSNS、Web記事のような短時間で判断されやすいコンテンツでは、
「最初に結論を出す」→「そのあとで理由を説明する」というスタイルの方が、読み手にとって親切なことも多いんです。

それでも、「起承転結」の考え方を骨格として持っておくことには大きな意味があります。

たとえば──

  • 「結論ファースト」でも、話を膨らませるのは“承”の考え方
  • “転”の発想があることで、読者の視点に変化を生みやすい
  • 最後に“結”で心地よい着地を作ることで、読後感が整う

つまり、順序を入れ替えたり要素を組み合わせたりしながら、今の時代に合う「伝え方」に進化させて使うという考え方です。

起承転結は日常やビジネスでも役立つ構成法

起承転結は文章だけでなく、日常のコミュニケーションやビジネスの説明の場面でも、実はとても重宝する型です。

たとえば──

  • 会議での報告:「現状(起)→原因(承)→改善策(転)→次の行動(結)」
  • 説明資料の構成:「背景(起)→課題(承)→視点の切り替え(転)→提案内容(結)」
  • 上司への相談:「こういうことがありまして(起)…そこでこう考えて(承)…でも気になるのが(転)…なので相談に来ました(結)」

こうして見てみると、「うまく説明できた」と感じたときって、自然とこの4段階が使われていたりします。

文章の構成法として覚えるだけでなく、考えを整理するための道筋として活用できるのも、起承転結の大きな強みかもしれません。

よくある誤用と、その回避のポイント

起承転結という言葉を聞くと、つい「絶対に4つのブロックに分けなければならない」と思い込んでしまう人もいます。

でも、実際にはそこまで堅苦しく考える必要はありません。

むしろよくある失敗は、起→承→転→結を意識しすぎて、かえって不自然な構成になってしまうこと。

たとえば──

  • 「転」だけが浮いていて唐突に感じる
  • 「承」と「転」の区別があいまいで、話の軸がぼやける
  • 「結」が単なる要約になってしまい、読後感が薄い

こうした状態にならないためには、「起承転結を守る」のではなく、
読者が自然に流れを感じられる構成を意識することが大切です。

たとえば「起→承→転→結」の順番にこだわらず、
「起→転→承→結」のように、転を早めに入れて引き込む工夫もありです。

柔軟に使いこなしてこそ、起承転結は型から技術に変わるんですね。

起承転結を使いこなすためのコツ

最後に、「起承転結をもっと自分の文章に活かしてみたい」という方に向けて、
取り入れやすいコツをいくつか紹介しておきます。

1つめは、「転」だけを先に決めてみること。
文章に面白みや変化を持たせる部分を先に考えておくと、そこへ向けて「起」「承」が自然に組み立てやすくなります。

2つめは、「声に出して読んでみる」こと。
読んでみて「ここで流れが止まるな」「違和感があるな」と感じる部分があれば、たいてい構成にズレがあるサインです。

そして3つめは、「結」の前に、読者がどう感じているかを想像すること。
話の締め方を整えるには、読み手の心に寄り添う意識がとても役立ちます。

型にとらわれすぎず、「読者にとって自然な流れかどうか」を軸に考える。
これだけでも、文章の伝わり方がぐっと変わってくるはずです。

まとめ

文章の構成法として広く知られる「起承転結」は、
ただの“型”ではなく、相手に伝わる流れをつくるための考え方の道筋です。

物語でも、説明でも、会話でも。
「起→承→転→結」という流れがあることで、聞き手・読み手が自然に受け止めやすくなる。

とくに“転”の工夫が加わることで、情報に動きが生まれ、伝えたいことが印象に残りやすくなります。

とはいえ、起承転結に完璧な正解はありません。
大切なのは、その型に縛られるのではなく、読者の理解を助けるための流れとして使いこなすことです。

最初はうまくいかなくても、少しずつ慣れていくことで、
気づけば自分の中に伝え方の軸が育っている──そんな構成技術のひとつかもしれませんね。

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