ピーマンの種の栄養は?食べられる?捨てずに活かすコツも紹介

料理と食材

炒め物やサラダなど、日々の料理に使いやすいピーマン。
下ごしらえのとき、当たり前のように種やワタを取り除いていませんか?

実はこの部分、ほとんどの人が何気なく捨てているにもかかわらず、「本当に捨ててしまっていいのかな?」とふと気になったことがある方もいるのではないでしょうか。

最近では「ピーマンの種にも栄養があるらしい」「実は食べられるって聞いたことがある」といった情報を目にすることも増え、ますます迷ってしまう方もいるかもしれません。
かといって、積極的に食べている人はあまり多くない印象です。

この記事では、ピーマンの種とワタに含まれる栄養成分や、食べられるのかどうか、捨てる以外にどんな使い道があるのかなどを、幅広い視点でわかりやすく整理していきます。
ふだんはあまり意識しないピーマンの中の白い部分ですが、知っておくと日々の食材の見方が少し変わるかもしれません。

ピーマンの種とワタに栄養はある?そもそも食べてもいいの?

ピーマンの中にある白くて柔らかいワタや、細かな種の部分。
調理の際には、多くのレシピで“取り除くのが当たり前”のように扱われており、食べるものではないという認識が定着しています。

けれど近年では、「実は栄養があるらしい」「捨てるのはもったいないのでは」と見直す声も少しずつ増えてきました。
一度は疑問に思ったことがある方もいるのではないでしょうか。

ピーマンの種とワタに含まれる栄養成分

ピーマンの種やワタには、普段あまり注目されることのない栄養素が、実は複合的に含まれています。量としては微量なものが多いものの、その中には健康に関わる成分も見受けられます。

なお一部の栄養素については、果実全体への含有は確認されているものの、「種やワタに特有に含まれている」と明言されたデータは限られています。ただ、植物の構造上、こうした成分が部位ごとにもある程度分布していると考えるのは自然であり、栄養学的にも妥当とされています。
(※印がついた栄養素は、「果実全体に含有が確認されているが、種やワタへの明記は限定的なもの」です。)

以下に、種やワタに確認されている、または含まれているとされる主な栄養素を紹介します。

  • たんぱく質・脂質
    ピーマンの種には、植物性のたんぱく質と脂質が含まれています。脂質にはリノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸が含まれ、血中脂質のバランス調整や、血管の健康維持に役立つ可能性があります。また、種のたんぱく質には必須アミノ酸も含まれ、筋肉や酵素の材料としても重要です。
  • ビタミンE
    脂溶性ビタミンのひとつで、抗酸化作用を持ちます。細胞の酸化を防ぎ、老化や生活習慣病の予防にも関わるとされます。
  • ピラジン
    ピーマン特有の香りや苦味のもととなる成分で、種やワタに多く含まれています。近年では、血流を促進する作用や血液をサラサラにする働きも注目されており、機能性成分としての研究も進んでいます。
  • クエルシトリン
    ポリフェノールの一種で、抗酸化・抗炎症作用があり、高血圧や便秘などの予防にも期待されています。特にワタ部分に多く含まれるとされます。
  • ビタミンC・※βカロテン
    ごく微量ながら、どちらの部位にも含まれていることが知られています。ビタミンCはワタに多く残る傾向があり、免疫サポートや粘膜の保護、抗酸化にも関与します。βカロテンは体内でビタミンAに変わり、視力や皮膚の健康を支えます。
  • ルテイン・※ゼアキサンチン
    カロテノイドの一種で、ピーマンの色素成分としても知られています。網膜の健康を保ち、ブルーライトの吸収や加齢黄斑変性の予防にもつながる可能性が指摘されています。
  • ビタミンK
    血液の凝固を正常に保つほか、骨の形成にも関与します。ピーマン全体に微量含まれる中でも、脂質の多い種に比較的分布しているとされています。
  • ビタミンB群
    B1・B2・B3(ナイアシン)・B6・葉酸などがピーマン全体に含まれており、種やワタにも分布していると考えられています。代謝のサポートや神経機能の維持に関わります。
  • ミネラル類(カリウム・リン・※カルシウム・マグネシウム・※鉄・亜鉛・※マンガン・※銅)
    これらの微量元素もピーマン全体に分布しており、種やワタにも含まれていることが示されています。とくにカリウムはナトリウムとのバランスを保ち、血圧の調整にも関与。マンガンや銅は酵素の働きを支える重要な構成要素です。
  • 食物繊維(とくに不溶性)
    ピーマンの種には、実やワタに比べて不溶性食物繊維が豊富に含まれています。この繊維は腸を刺激し、便通の改善や満腹感の持続に役立ちます。

こうして見てみると、普段は何気なく取り除いてしまいがちなピーマンの種やワタにも、意外としっかり栄養が詰まっているんですね。
捨ててしまうには、ちょっと惜しい気もしてきます。
調理法を少し工夫すれば、ムダなく上手に活用できる場面もあるかもしれません。

食べること自体に問題はないの?

ピーマンの種やワタは、基本的には食べても問題のない部位とされています。
実際に、丸ごと加熱するレシピや、スープのだし素材として活用する方法など、調理例も少しずつ広がってきています。

なお、種やワタには「アルカロイド」などの植物由来成分をごく微量に含む可能性があります。
これはナス科の植物全般に見られる自然な成分であり、通常の家庭料理の範囲で摂取する分には健康へのリスクはないと考えられています。

ただし、いくつか注意しておきたい点もあります。

  • 種やワタはわずかに苦味があり、食感もやや硬いため、好みが分かれることがあります。
  • 消化があまりよくないため、一度に大量に食べるのは避けたほうが安心です。
  • 特に小さなお子さんや、胃腸の弱い方にはあえて無理に勧めないほうがよい場合もあります。

このように、あくまで「食べることもできる部位」であり、体調や好みに応じて判断すればよい食材といえるでしょう。
無理して取り入れる必要はありませんが、栄養的に完全に無意味というわけでもない、という点は覚えておいて損はないかもしれません。

ピーマンの種はなぜ捨てられてきた?「食べないのが普通」の背景

微量とはいえ栄養があることもわかってきたのに、なぜ種やワタは当たり前のように取り除かれてきたのでしょうか?

実はその背景には、見た目・食感・下処理にかかる手間といった、いくつかの実用的な理由が関係しています。

見た目や口当たりの違和感

種やワタは白く、独特の形状と硬さがあるため、料理にそのまま残すと見た目や食感に影響が出やすくなります。
特に炒め物や、自家製のピーマンピクルスなどでは、種やワタがあると見た目や食感の仕上がりに影響することがあります。

このような視点から、料理としての仕上がりを重視する人にとっては、取り除くほうが自然な選択になりやすいのです。

苦味・えぐみを避けるため

ピーマンの種やワタには、ほんのりとした苦味や青臭さがあります。
この風味が料理全体に広がってしまうことを避けるために、最初から取り除くという調理方法が一般的になったとも考えられます。

特にお子さん向けの料理や、味の繊細さを求める和食では、この“余計な風味”を抑えるための処理として、種取りは半ば常識のように根付いてきました。

種が飛び散りやすく、下処理に手間がかかる

実際に調理してみるとわかりますが、ピーマンの種はとても軽く、切った瞬間にポロポロと飛び出すことがあります。
キッチンに広がったり、手にくっついたりといった細かい手間が発生しやすいため、いっそ丸ごと取り除いてしまう方が手早いという事情も無視できません。

とはいえ、これらはすべて「味や食感、手間の面で省かれてきた」理由に過ぎません。
健康上の問題があったから排除されてきた、というわけではないという点は押さえておきたいところです。

ピーマンの種はどう活用できる?捨てずに活かす調理アイデア

「栄養があるなら活かしたい。でも、どう使えばいいの?」
そんな疑問を持つ方も少なくないかもしれません。

実は、ピーマンの種やワタは、ちょっとした工夫で食材として活かすことができます。
あまり知られていないだけで、日常の料理にも取り入れやすい方法がいくつかあるんです。

種ごと丸ごと焼く・炒める

一番シンプルな方法が、ピーマンを種ごと丸ごと加熱するスタイル。
特にグリルやオーブンで丸焼きにする場合は、種の存在が気になりにくくなります。

高温で焼くことで、苦味や青臭さがやわらぎ、ワタもトロッとした柔らかさに変化します。
この方法なら、無理なく種ごと食べられる方も多いかもしれません。

「種が苦手」というイメージがある方も、まずは少量から試してみるとよいでしょう。

スープ・だし素材として活用する

ピーマンのワタや種を野菜だしの一部として使う方法もあります。
そのまま食べるわけではありませんが、煮込んだあとにこしてしまえば、クセも残らず、栄養も煮汁に移ります。

たとえば、

  • 野菜スープのブイヨン代わりに
  • みそ汁の具材出汁の一部に
  • 煮物やリゾットなどの香味付けに

といった形で取り入れると、捨てずに栄養を活かすことができます。

ただし、煮出した種をそのまま食べるのは食感的に向かないため、あくまで「だしとして使う」のが自然な方法です。

自家製ふりかけや炒り種として再利用

乾燥させてから炒ることで、ピーマンの種は香ばしいナッツのような食感に近づきます。
ごく少量をふりかけのアクセントや、おにぎりの具に混ぜるなどすれば、意外と新鮮な使い心地になります。

ただしこの方法は、水分をしっかり抜いてから炒る必要があるため、手間と衛生面への配慮が必要です。
無理に毎回行うものではなく、時間と余裕があるときのアイデアとして参考にしてみてください。

ピーマンの種を食べる際の注意点と保存のポイント

「食べても大丈夫」とはいえ、どんなものにも注意点はあります。
とくに食材としての安全性や、日々の使い勝手を考えるなら、いくつかのポイントを押さえておくと安心です。

大量摂取は避ける

ピーマンの種は食べられるものではありますが、消化しづらい構造をしています。
とくに固い外皮は消化器に負担をかけやすいため、食べる量はほどほどに。
一度に大量に食べるより、調理法を工夫して無理なく取り入れるのが現実的です。

また、胃腸の弱い方や、小さなお子さんにはあまりおすすめされません。
あくまで「食べることもできる素材」として、状況に応じて判断するのがよいでしょう。

傷みやすいため、早めに使い切る

ピーマンの種やワタは、水分を多く含む部位です。
収穫から日が経ったものは、ワタ部分から黒ずみやカビが発生しやすくなるため、使用前にしっかりと確認しましょう。

調理の際には、下記のような点をチェックすると安心です:

  • 表面がぬるついていないか
  • 色が変わっていないか
  • 異臭や苦味が強くないか

少しでも不安がある場合は、無理せず取り除く判断がベターです。

栄養を無駄にしない工夫は「できる範囲」で

ここまで読んで、「それなら全部食べたほうがいいのかな…?」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、ピーマンの種やワタには微量ながら栄養があります。
しかし、必ず食べなければいけないものでもなければ、「捨てるのはもったいない」と責める必要もありません。

大切なのは、その栄養を知っておくことで選択肢が広がるということ。
無理のない範囲で、楽しみながら使える場面があれば、それだけでも十分です。

まとめ

これまで調理の都合などから捨てるのが常識とされてきたピーマンの種やワタですが、
実はビタミンや食物繊維などを少量ながら含んでおり、うまく活用すれば食材を無駄なく使うヒントになります。

苦味や食感が気になる方もいると思いますが、焼いたり、スープに使ったりと、工夫次第で活かす方法は意外と身近です。
一方で、必ず食べなければいけないわけではなく、「知ったうえで選べる」ことにこそ意味があると言えるでしょう。

普段は何気なく捨てていた部分にも、実はちょっとした可能性がある。
そんな視点を持つだけで、毎日の食材との付き合い方が、少しやさしく変わってくるかもしれませんね。

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